こんにちは。現役インフォプレナーのジルです。
これまでのFX考察は以下からご覧ください。


※本記事に記載しているのは、あくまで私が行ってきたFX戦略の「一部」であり、「一つの考え方」になっていますので、あくまで参考のためにご参照ください。なお、当情報の影響で万が一あなたの投資活動で損害が発生したとしても、一切責任は負いかねることをご了承ください。
相場の敗退者にならないためには?
現状変化への対処
経済学のノーベル賞受賞者であるダニエル・カーネマンは、人々は数値的な予測をする際、現在の基準点に大きく依存してそこから調整する傾向があるため、数値推測を間違てしまうことが多い事を「投錨(とうびょう)と調整」と表現しています。
つまりFX市場であっても、特定の状況が一定期間続くとそれが自然になり、当たり前の状況だと捉えるようになります。
そして人はその状況に投錨し(囚われてしまい)、その状況に基づいて判断を調整するため、数値的予測を間違えやすくなってしまうのです。
たとえば、バブル時代のもっとも活況だった株価を例として考えるとイメージしやすいでしょう。
周知の通り、バブル時代はほぼすべての株銘柄が上昇トレンドを突っ走っていたので、一度買えばその株はまたさらに上昇するというのが自然な考え方でした。
要するに「買った株は上がって当たり前」という認識が定着しており、日経平均3万円という株価に基準を置きながら、その基準に基づいて将来の株価予想を調整していたわけです。
その結果、そこから株価が2万円になるなど誰も予測できず、その事態に対処もできなかった事から大きな損失を出したのです。
別の例としてはアナリストの為替レートや株価の予測ですが、率直に言ってアナリストの予想はほとんど当てになりません。
何故なら、そもそも予測などしていないからです。
アナリストの予測は、たとえば為替レートでの場合、予想時のレートを基準に上下20%以内の数字を挙げる人が圧倒的に多いように思います。
実際、過去の為替レートを見ると、平均で年間20%前後上下する可能性が非常に高くなっています。
つまりは結局、アナリストは何も予測していないようなものなのです。
言い換えれば、過去の為替レートの変化に基づいて、「過去の平均から考えればこれくらいの動きになるので、レートもこれくらいになるでしょう」というデータを述べているに過ぎないのです。
とはいえ、個々のアナリストが怠慢であると言うつもりはありません。
「投錨と調整」は、人間の性(さが)から生じる避けられない行動心理学だからです。
ではその一方で、1ドル110円前後の現状から1年以内に150円になると予測する事はできるのでしょうか?
レートが1ドル150円に達するには、円を大幅に下落させる経済的要因が1年以内に発生しなければなりません。
そして現在のレートが110円であるならば、円安材料は現在織りこまれていない(まだ発生していない)ことを意味しています。
こういった不確実な要素や未知の要素を「占う」ことはできるかもしれませんが、「推測」をすることはほぼ不可能です。
したがって、先日の記事で負ける投資家の共通項として述べた「現在の状況に大きな変化が起こることに対して抵抗感がある」という欠点を克服して、

正しい、すなわち合理的な行動をとるためには、将来の為替レートを予想するのではなく、現状と大きく異なるシナリオも起こる可能性を想定する(受け入れる)ことが必要になります。
そしてこのような状況に備えて資金を分配し、予想外の大きな相場変動が発生した場合には現状の変化に対して抵抗するのではなく、早期に損切りをするなど状況に適した対応をとならなければなりません。
逆に市場が良い方向に動き始めたときも同様です。
大きな変化の可能性を考慮して、早い段階で利確を入れるのではなく、トレンドに乗り利益を増やすことが重要です。
もしこうした「現状変化への対処」が適切にできていれば、バブルが弾けたときも損失を最小限に抑えることができたはずです。
ちなみに、すべての市場参加者が同じタイミングで損切りを行えば、株取引の場合はストップ安となり取引が成立せず、相場の下落幅はさらに大きくなる可能性があると言われています。
ですが幸いなことに、多くの人は非合理的に行動し、そのような状況で損切りを入れる人は少ないために相場が成り立っています。
「意見の相違」が相場を形成しているわけです。
…話を為替に戻しましょう。
昨今では、現状の日本の悲惨な財務状況と財政破綻の可能性について触れられおり、その結果生じるであろう円安についても言及されています。
こういう話をすると「なるほど」と耳を傾ける人がいる一方で、「日本は世界に誇る経済大国である。その日本が財政破綻するなんてあり得ない」という人も、当然のことながらたくさんいます。
これはバブルのピーク時に「日経平均が2万円を割るなんて、こんな好景気なのにあり得ない」という意見が大勢を占めていたのとどこか似ている気がしないでもありません。
たしかに日本は、世界最大の外貨保有高を誇り、日本国自体の資産も相当にあります。
だから、一部の本がはやし立てるような財政破綻や、厳密な意味でのハイパーインフレが起こる可能性は低いと私も考えています。
しかし、日本の財政状況が危機的であることもまた事実です。
そして今後、財政再建と景気回復を同時に達成するのはむずかしいことでしょう。
だから投資家として、日本で生活する国民として、可能性が低いにしても相応のインフレーションや円安になることを想定し、資産運用なり、生活設計を行なうことは自己防衛の意味でも必要だと思うのです。
これは大きな変化を受け入れるということです。
そしてその点、外貨と株はインフレーションに強い商品です。
現状の変化へ対処するために、外貨を含めた資産運用がいかに重要なのか、言うまでもないでしょう。
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経験則に囚われがちな癖を治す
「過去の体験にとらわれる傾向がある」という欠点も多くの人に当てはまることでしょう。
過去に成功した体験をもち、それが強烈であればあるほど人間は成功した行動を繰り返そうとします。
これはまったく自然なことで、逆にいえば、人は成功体験の記憶があるからこそ、その成功した方法を元に、現状のやり方に改善を加え、絶えず成長することができるともいえます。
問題は、過去の体験にとらわれすぎるのはよくないということです。
たとえば、高度成長期に買った株を長期に持ち続けて成功したとします。
そして長期保有が投資においてベストの戦略であると考え、いまに至っていたらどうでしょうか。
なるほど、経済が右肩上がりに上昇する時代には会社の資産も収益も増えるため、株価は上昇しました。
おまけに株式の売買手数料も高かった1980年代においては長期保有がベストの戦略であったと思います。
しかしバブルが崩壊し、経済構造自体が大きなパラダイムシフトを起こし、株式相場が右肩上がりでなくなった後は、長期投資はベストの投資ではなくなりました。
にもかかわらず、かつて長期保有で大成したゆえに、その成功体験が忘れられず、その方法にとらわれてしまった結果、この10年ほどで10億円以上の資産を半分以下に減らした人が多発しています。
株式の売買手数料が安くなり、会社(銘柄)の勝ち組、負け組が明確に分かれる時代においては、短中期売買で回転率を上げ、業績の良い株を絶えず選別し、投資対象を臨機応変に変更する方法のほうが合理的な方法となったのです。
そして、ある程度損失が出た段階で損切りをするということをしなければ相場で勝つことはできなくなってしまったのです。
外的環境は絶えず変化します。
まさに、諸行無常です。
そして、それに伴い成功する投資哲学や投資行動、投資技術も絶えず変化します。
そうした事実を認識し、臨機応変に状況に対応する柔軟性をもって、そのときどきにベストの投資方法を求める姿勢がなければ、長い期間にわたって相場の世界で生き延びることはできません。
多くの人が解説しているMACDを使った投資技術なども、過去数年においては為替相場に相当な適合性をもち、利益が上がる可能性が高かったのは事実です。
そして、現時点でもまだその効能は落ちていません。
しかし、たとえば5年後には、日本の経済状況が変化したり、市場参加者の行動パターンが変化している可能性もあります。
そうなれば、MACDを始めとしたテクニカル指標はもはや有用な指標ではなくなっている可能性が十分にあるのです。
そういった認識をもちながら、絶えず状況の変化をとらえ、自己変革、投資方法の改善を続けていく姿勢がないとダメなのです。
一つのやり方を覚えて、それでいつまでも利益を上げ続けられるほど相場の世界は甘くはありません。
そしてそれは通貨の選択に関しても同様のことがいえますし、そもそもFXという投資ビジネスに対しても同じことが言えます。
FXはだいぶ世間に広まってきたとはいえ、実践者数はまだまだ少ないものです。
しかしこれから先、商品のよさが認知され、買いが集まって過熱感が現れてきたら、そのときはFXからは撤退し、別の投資商品に比重を移すときかもしれません。
いずれにしても、投資対象も投資技術も、すべては変化するものだと認識し、いくら過去に成功したとしてもその成功体験にとらわれすぎないことが重要であり、「過去の体験にとらわれる傾向がある」という欠点への備えとして不可欠なのです。
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さて、本日はここまでです。
続きは次回にさせて頂きます。
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現役インフォプレナー「Jill」
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